国際博覧会：過去のベルギーの参加

1897年のブリュッセル万博は、1875年に軍事訓練場から印象的な公園に生まれ変わったサンカントネール公園で、「モダン・ライフ（近代生活）」をテーマに5月10日から11月8日まで開催されました。

万博期間中、サンクアントネール公園には、26の国家や民族、ベルギーの各州やテーマ別ギャラリーがありました。ギャラリーでは、ボイラーや換気システムなど、当時の最新の技術革新が紹介されました。その他のギャラリーは、社会経済や衛生に特化したものでした。

ベルギーの主要都市もそれぞれのパビリオンを出展。首都であるブリュッセルのパビリオンは、ゴシック様式で作られており、小便小僧、ル・クラシュール（唾を吐く像）やレ・トロワ・ピュセル噴水のレプリカが展示されていました。

この万国博覧会は、ベルギーのモダニズムにスポットライトを当てたもので、アール・ヌーヴォーにとっても画期的な出来事でした。万国博覧会のポスターもすべてアール・ヌーヴォー様式でデザインされました。

「オルタ・ランボー・パビリオン」とも名づけられた「人間の情熱の神殿」は、建築家ヴィクトール・オルタが初めて建設したパビリオンで、現在もサンクアントネール公園に残っている唯一の1897年万博建築物です。建築家はその後、アールヌーヴォーの先駆者となりました。

1897年ブリュッセル万博は、延べ600万人もの来場者を迎え、アール・ヌーヴォーを世界に広めるきっかけとなったほか、鉄道や道路のインフラ整備にも大きな進歩をもたらしました。

1955年に計画されていた万博は、朝鮮戦争の影響で1958年に延期。開催国も朝鮮戦争休戦後の1953年に決定。

1928年には国際博覧会条約が署名され、「国際博覧会」はこの条約を基準に秩序をもってテーマをめぐって開催されることになり、第二次世界大戦の勃発で18年間の中断後、1958年ブリュッセル万博で国際博覧会が再開されました。

第二次世界大戦後初の万国博覧会という象徴的な意味合いから、テーマは「自由と進歩」に決定。ボードゥアン国王は万博の開幕にあたり、平和と社会的・経済的進歩を呼びかけました。

2005年3月25日から9月25日まで、愛知県で開催された「愛・地球博」。テーマは、温室効果ガス削減を目指す1997年の京都議定書に基づく「自然の叡智」であり、来場者数は、2,205万人で予想の1,500万人を大きく上回りました。

会場はテーマに沿って設計・建設され、徹底的な環境調査が行われました。既存の森林や池を博覧会に統合し、建設エリアが環境に与える影響は最小限に抑えられました。

ベルギー館では、ファン・アイクから現代のデザイナーに至るまで、ベルギーの芸術家 がいかに自分を取り巻く自然を見つめてきたかが語られました。彼らがこの自然を作品に取り入れる方法は、当時の社会に影響を与えただけでなく、今日でも賞賛される芸術作品を生み出しました。

芸術的なイマジネーションと最先端技術が融合した展示の一例として、ベルギーの各地方に特化した室では、最新鋭の機器がベルギーの映像を投影。また、子供の遊び場もありました。

2012年麗水（ヨス）国際博覧会は「生きている海と沿岸」をテーマに、生命の源であり、生態系の調整役でもある海と沿岸の役割を取り上げました。

海洋と沿岸はともに、地球環境を支配するネットワークを形成しており、地球の健全性に与えるその影響は、世界中のすべての人々と国家の共通の運命を証明しています。

しかし今日、この二つの重要な生態系プレーヤーは、ますます危機に瀕しています。海岸やその周辺での継続的な産業開発、海洋資源の乱獲、汚染は、その幸福を決定する脆弱なバランスをますます危険にさらしています。

ベルギー館では、来場者はまず、ベルギーの海岸で毎年開催される小さなカーニバルへ。メリーゴーランドの横を通りながら、ベルギー名物であるダイヤモンドやチョコレートについて学び、豊かな文化の歴史に浸りました。

また、砂丘や揺れる芝生、美しい砂浜、そして荒れ狂う北海など、ベルギー沿岸の幻想的なパノラマも展示されました。

パビリオンは、ベルギーと海の関係を紹介するエリア、土産物店、グルメレストランの3つのセクションに分かれていました。

2015年、「地球に食料を、生命にエネルギーを」という旗印のもと、イタリアのミラノに万博がやってきました。この万博は、食糧生産、健康的な栄養、人口増加、廃棄物の回避、天然資源の効率的な使用に関する問題を提起し、現代における最大の課題のひとつに取り組みました。

上記メインテーマは、「食料の安全、保全、品質のための科学技術」、「農業と生物多様性のための科学技術」、「農業食物サプライチェーンの革新」、「食育」、「より良い生活様式のための食」、「食と文化」、「食の協力と開発」の7つのサブテーマに分かれていました。

139の参加国・地域は、パビリオンのデザインや内容を通じて、万博の持続可能な食のテーマをさまざまな形で強調しました。その一環として、ベルギー館のデザイン、持続可能な建設、中で紹介した代替食品生産方法が高く評価されました。

ナミュールを拠点とする建築家パトリック・ジェナールが設計したベルギー館は、中心市街地における生物多様性を促進する革新的な都市計画コンセプトに基づいていました。

ベルギー館は、「建物のデザインと素材」部門で特別賞を受賞。特に、太陽光発電ソーラーパネル、風力タービン、ヒートポンプ、下水処理などの再生可能エネルギーシステムが高く評価されました。また、パビリオンで紹介された水耕栽培、アクアポニックス、昆虫など、未来の都市のための代替食糧生産方法が「その他の特別な取り組み」部門で受賞しました。

ベルギー館のこれらのユニークな特徴は、エネルギー消費の制限、水管理、そして自然でリサイクル可能な材料の使用により、より持続可能な運営を可能にしました。したがって、ミラノ万博は、質の高い建設、デザイン、技術革新におけるベルギーのノウハウを後押しする絶好の機会でした。

このように、ベルギー館は建築から舞台装置や料理の細部に至るまで、あらゆるレベルで2015年ミラノ万博のテーマを反映していました。

中東・アフリカ・南アジア（MEASA）地域初の万博として、2020年ドバイ万博は、新しい世界を共同で創造するという精神のもと、世界各地からの来場者を迎えました。国、多国間組織、企業、教育機関など200を超える参加者が、過去最大かつ最も多様な万博を創造し、来場者に視覚的なインパクトと感動を与える182日間を提供しました。

会期は2021年10月1日から2022年3月31日まで、つまりコロナ禍の影響により予定より約1年遅れでの開催となりました。

2013年11月27日、博覧会国際事務局による投票の結果、ドバイが開催都市に指定されました。「心を繋いで、未来を創る」をテーマに、ドバイ万博は半年間で約2,400万人の来場者を迎え、192の国と10の国際機関が同万博に参加しました。

2020年ドバイ万博は、持続可能性、機会、モビリティの3つのサブテーマに分かれており、ベルギー館は後者のサブテーマに対応する地区に建設されました。パビリオンの設計はAssar Architects & Vincent Callebout Architectures、建設はBESIX Groupが担当しました。

ベルギー館のテーマは「Smart and Green Belgium 2050」でした。